ギターって思ったより大きい。
抱えるのが大変。
1,2,3フレットが遠い。
ネックが太すぎて親指が回らない。
って思ったことはありませんか?
今回はギターの大きさと身長や手の大きさの関係を、ギターのスペック、アメリカ人と日本人の体格差、実際に僕が弾いてきた経験を交えて考えてみたいと思います。
結論から言うとギターが大きい、ネックが握りにくいと感じている人は、
アコギは000(トリプルオー)などのショートスケール、
エレキはムスタングを持ってみては?という話です。
まず前提として、手が小さくても体が小さくてもギターは弾けると思います。
現にmiwaなどの小柄な女性シンガーでもアコギを綺麗に弾きながら歌を歌っていますよね。
ギターという楽器は現在作られている大きさが、音の響きと扱いやすさのバランスを取った結果として残っているのかもしれません。
ですが最近はアコギでもイコライザやコンプレッサーなどのエフェクトをかけたり、エレアコにいたっては音作りをする前提で生音を多少犠牲にしてプリアンプを内臓していたりします。
音量や音の響きをギター以外のところで作れるので、楽器に人間の身体を合わせるというよりも、身体の大きさに合ったギターを選ぶという発想でも良いのでは?
と思いました。
現在作られているアコギの基準とも言えるMartin D-28のスペックは次の通りです。
ナット幅:44.5mm(2018年製~)42.8mm(~2017年製造)
スケール(弦長):645mm
フェンダー社が販売しているストラトキャスター、テレキャスターのスペックは次の通りです。
ナット幅:42mm(ビンテージスペック系)、42.8mm(モダンスペック系)
スケール(弦長):647.7mm
ギブソン社が販売しているレスポールモデルのスペックは次の通りです。
ナット幅:43.05mm
スケール(弦長):628mm
出展:
【スペックの読み方】ナット幅、スケール、ラジアス比較一覧│yoshguitarブログ
ここで考えたいのが、Martin、フェンダー、ギブソンはどれもアメリカに本社があるギターメーカーです。
つまりギターはアメリカ人の体型や体の大きさと音のバランスを最適化し、改良を重ねてきた楽器とも言えますね。
いわゆるギターヒーローと呼ばれる世界的なギタリストは男性ばかりなので、男性の体型を基準に開発されてきた楽器とも言えます。
ローリングストーンズ誌が選ぶ最も偉大なギタリスト100人
2011年現在、アメリカ人男性の平均身長は約175.8cm、日本人の男性の平均身長は約171.6cmです。
出展:
175.8cmと171.6cmの比率は1:0.976なので、日本人に最適なギターの大きさは現在より2.4%小さいスペックと言えるかもしれません。
女性の場合は平均身長が158.1cmなので、比率を1:0.899とすると10.1%も小さいギターが最適と言えるかもしれません。
ここで平均的な日本人男性よりやや小さい(約169.5cm)僕の経験を交えてお話していきます。
僕は2016年製造のMartin D-28とフェンダーUSA American Vintage 62 Reissue Stratocasterを持っています。
両方をほぼ毎日弾いている感覚としては、Martin D-28はデカくて、6弦を親指で握るロックフォームは実用的に演奏するのは3フレット付近までが限界です。
5フレット付近以降になるとフォームの移動や構えに時間がかかる上に6弦がビビることが多いので、クラシックフォームで演奏することが多いです。
もちろん止むを得ずロックフォームで6弦を押さえる時がありますが、フレーズの合間だったり押弦に余裕のある時しか使いません。
Martin D-28は2017年年末に仕様が変更しているようで、僕が持っているのは旧式のLow Profileというネックシェイプにあたります。
ネック幅は42.8mmですが、ネックの形状が結構太い感じがするので6弦を親指で押さえるのは一苦労ですね。
新モデルは44.5mmなのでもっと太く感じるかもしれません。
出展:
一方ビンテージモデルのストラトは12フレットでも割と楽に親指で6弦を押弦することが出来ます。
ネック幅が0.8mmしか変わらないのにこの差は何だろう?と考えると、多分ネックシェイプが関係していると思います。
また、American Vintage 62ストラトはおそらくUシェイプというネックシェイプにあたります。
アコギの標準とも言えるD-28のネックは、エレキのUシェイプよりもかなり太いということになりますね。
プリアンプを積んでいない、生音を重視のいわゆる生ギターとしてのサウンドが最適になるように作られているから当然かもしれませんね。
Martinもフェンダーもスケール長(弦長)はそれぞれ645mm、647.7mmですがローコードを押さえる時はそれほど苦労した印象はないです。
ですがたまに628mmスケールのギブソン系のギターを弾くと、とても弾きやすく感じますね。
で、先日楽器店でたまたま試奏したギターがショートスケールでネック細めというモデルだったんですが、これがとても演奏しやすかったんです。
さっき楽器屋で試奏したギターがすごい手に馴染んだなぁ🥰
ネック細めボディ薄めショートスケールのエレアコが欲しいと思ったけど、ふと目に入って手に取ったギターがそのスペックとは🤔
ネック裏の塗装もツルツルじゃなくてマットなのが手汗勢としては嬉しいですね🥰https://t.co/bWuQEZTp1f pic.twitter.com/zTkbYBs01z
— ギタロー/タブ譜動画 (@guitarous) 2020年11月6日
ヤマハのAPX600FMという4万円代のエレアコなんですがこれが一応ショートスケールで小柄で抱えやすいことを謳っているんです。
スケール長(弦長):634mm
ナット幅:43mm
出展:
普段弾いているMartinと比べるとボディは小さいしスケール長も短いので、単純にMartinが大きすぎるのかもしれません。
ナット幅は0.2mmヤマハの方が太いですが、ネックの形状の影響か6弦を親指で押さえるのがとても楽でしたね!
ですがカッタウェイ+プリアンプ内臓+ボディが小さい、ということ生音はかなり抑えめになっていました。
とはいえエレアコなのでライン録りして音を作る前提のモデルとも言えますね。
今まで弾いてきた経験を踏まえて、やや小柄な日本人体型の男性にとって理想的なギターは次の通りだと仮定してみましょう。
スケール長:628~634mm以下
ナット幅:42mm(ネックの形状にもよる)
アメリカ人が作ってきたギターの標準的なスペックを次の通りだと仮定してみましょう。
スケール長:647.7mm(フェンダー系の標準)
ネック幅:42.8mm(Martinの2017年以前モデルの標準)
この数字に、アメリカ人男性と日本人男性の体格差である2.4%を差し引いて数値を算出してみました。
647.7mm – 2.4% =632.15mm
42.8mm – 2.4% = 41.7mm
上記で仮定した、やや小柄な日本人体型の男性にとっての理想のスペックと数値が割と近いですね。
(ちなみにMartin OOO-28モデルはスケール長は632.46mmです)
ではここからさらに、男性と女性の体格差である10.1%を差し引いてみましょう。
632.15mm – 10.1% = 568.3mm
41.7mm – 10.1% = 37.48mm
さすがにここまで小さいサイズはミニギターよりも短いかもしれません。
(Martinのミニギターモデル、LX1はスケール長が584mmです)
スケール長はチューニングの安定やズレに関わるので、極端に短いスケールのギターはあまり無いようですね。
ネック幅も37.48mmとまではいきませんが、フェンダー社のムスタングのスペックは次のようになっています。
弦長:609.6mm
ネック幅:40mm
まとめ
ボディの大きさやネックの太さによってギターを持った時の取り扱いやすさや弾きやすさは全く変わってくると思います。
それに最初に書いている通り手が小さくてもギターは演奏出来ますし、良い音で演奏するために標準的な大きさのギターを選ぶというのが一般的なギターの選び方だと思います。
この記事を書く前からギターが大きくて弾きにくいと感じるなら、ショートスケールやナット幅狭めのギターを選んでみては?という結論はありましたし、そのように伝えてるメディアやギター初心者向けサイトは多くあります。
ですが自分の主観的な意見と個人的な経験だけで人に勧めるだけでなく、数値的な根拠から改めて考え直してみたいと思いこの記事を書きました。
この記事がギター選びの参考になれば幸いです。
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